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雪のあとに - 奥多摩・浅間嶺 [山歩き]


 日曜日の朝8時34分、定刻に武蔵五日市駅の高架のホームに降り立った私たち6人は、ホームの最後部からの眺めに思わず歓声を上げた。

 線路のすぐ向こうの山の木々が新雪を纏い、全ての落葉樹が霧氷のように白く染まっている。しかも、その背後は澄みわたった青空だ。
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 まるで、どこか北国のスキー場にでも来たかのような眺め。冬の山歩きのためにこの駅は何度も利用してきたが、こんなに素晴らしい雪景色に出会ったことはない。改札口を出て、9時発の路線バスを待つ間も、駅前広場の片隅で私はこれを飽かず眺めていた。
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 やがてやって来たバスに揺られること30分と少々。上川乗のバス停で私たちが降りると、まだ朝の光が直接当たらない谷の中の集落は凛とした冷気に包まれて、見事な雪景色の中にあった。
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 浅間嶺(せんげんれい、903m)への登山道を示す道標が、5センチほどの雪を被っている。積もったばかりの柔らかい雪だ。
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 昨夜は関東地方の南岸を低気圧が進んだ。東京も「日付が替わる頃から雨、所によっては雪」との予報が出ていたのだが、都心部は雨にもならなかった。それが、奥多摩では若干の降雪になっていたようだ。しかも、低気圧が通り過ぎるに従って冬型の気圧配置に戻り、早朝から青空が広がり始めたのだ。
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09:40 上川乗BS → 11:00 浅間嶺展望台

 直前まで軽い降雪があり、登山を始める頃には冬の青空。そんなタイミングで山歩きが出来るとは、今日の私たちは何と幸せなことだろう。浅間嶺への登山道に足を踏み入れて間もなく、目の前に広がり始めた雪景色は、今までに出会ったことのある奥多摩の山の風景とは全く異なるものだった。
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 更に幸いなことに、今朝は風がほとんどない。そして、日が差せば暖かい。こんなに素晴らしい山の雪景色に囲まれているというのに、歩いている間も特に手袋を必要としないほどなのだ。だから、日当り日の良い場所では、降ったばかりの雪がすぐに融けていくだろう。あと何時間かすれば、同じ場所の雪景色もずいぶんと変わったものになってしまう筈だ。そうであれば、今、この瞬間の山と森の姿を、しっかりと自分の記憶に焼き付けておくことにしよう。
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 歩き始めてから1時間15分で、浅間嶺展望台直下の東屋のある場所に到着。後は、新雪を踏んで一登りだ。
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 午前11時ちょうど、浅間嶺展望台に到着。奥多摩の御前山や大岳山のピークは雲を纏っていたが、北側に並ぶ山々の眺めは何度見てもいいものだ。そして、その山並みの更に北側に並ぶ鷹ノ巣山、雲取山、そして飛龍山へと続く奥多摩・奥秩父の主稜線を、今回も遠く眺めることができた。
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(浅間嶺展望台から大岳山方面の眺め)

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(雲取山から飛龍山へと続く遠い山並み)

 昼食は、T君が持って来た冷凍の鍋焼きうどんセットと私が持って来た野菜スープ(→ルーを投入して最終的にはカレー・スープに変身)をそれぞれのコンロで温める。雪の山々を眺めながら暖かい昼食をとる贅沢。空には雲が浮かび、それによって太陽の光が遮られる時だけは寒さを感じるのだが、それだけ太陽の光がパワフルだということなのだろう。
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 考えてみれば、三日前に立春を迎えたので、冬至と春分との中間点を今はもう過ぎていることになる。光の春という言葉は、今日のような天候のためにあるのかもしれない。
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12:00 浅間嶺展望台 → 12:20 人里峠 → 12:48 一本松

 風のないピークで昼食と山々の眺めを楽しんだ後は、いつものように浅間尾根を歩こう。東屋のある所まで降りて、山道を西方向へと辿る。ここからしばらくは山道が浅間尾根の北側を行くので日陰になり、例年この時期は雪が融けずにそれなりの深さで残っている。手軽にスノーハイクを楽しめる、いいコースだ。
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 特に、人里(へんぼり)峠に達する手前で右手の展望が広がる場所を通る時が楽しみだ。遥かな雲取山に向かって雪の山々が続く。今眺めているこの雄大な景色の殆ど全てが実は東京都内だということは、登山者も殆ど意識することがないのではなかろうか。
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 人里峠から尾根道を更に進み、藤倉からの登山道と合流する一本松まで、登山地図には所要50分とあるところを、私たちは快調に歩いて30分で到着。衣類の調節を手早く終えて、直ぐにまた歩き始めた。

12:50 一本松 → 13:10 数馬分岐 → 13:40 檜原街道出合 → 13:55 数馬の湯

 一本松を過ぎると、山道が尾根の南側に回るようになる。そうなると日当りが良い場所では残雪がなく、山道は秋の終わりのままのような姿だ。日向と日陰。その僅かな違いで山道の様子がこんなにも変わるのが何とも不思議である。
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(日向と日陰の境)

 ここから数馬分岐までの間に、私の好きなスポットが二箇所。一つは、右手に展望が広がる最後の場所で、そこからの御前山の姿が実に堂々としている。
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 もう一つは、数馬分岐のすぐ手前で山道が南に向かってトラバースする時に左手に見える、自分が歩いて来た方向の眺めである。
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 右奥には東京都と山梨県の県境になる笹尾根が東方向へと連なり、生藤山あたりまでが見えている筈である。これもまた全て東京都内の眺めなのだ。そして、北斜面に雪を残した寡黙な山々の姿が、実に味わい深い。

 一本松からちょうど20分ほどで数馬分岐に到着。後は南に下ればとんとん拍子に人家が近づいて来る。道は途中から舗装道路になり、膝が痛くなるような下り坂を過ぎて橋を渡り、檜原街道を15分ほど歩けば数馬の湯だ。快調に歩いて来たので、私たちは予定よりも1本早いバスに乗れる時刻に到着することになった。浅間嶺から数馬の湯までで2時間を切ったというのは、私たちにとっては新記録ではないだろうか。
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 今日の6人の中に、雪の浅間嶺と浅間尾根を歩くのは初めてというメンバーが二人いたのだが、彼女たちが二人とも、今日のコースはとても楽しかったと語ってくれた。

 軽い降雪の直後という絶妙のタイミングであったこともあるのだが、山道の雪を踏みながら半日を過ごす中で彼女たちが感じ取ってくれたのは、この山域が持つしみじみとした味わいと、冬だからこそ出会うことのできる、地味で穏やかながらも凛とした山々の姿だったのではないだろうか。そして何よりも、山の冬は草木や動物がそれぞれの方法で風雪に耐えていく試練の季節だ。そうした厳しい季節だからこそ、生き物たちの姿に私たちは命の輝きを感じるのではないだろうか。そんな思いを山仲間と共有することができたとしたら、企画をした私にとっては冥利に尽きることである。

 奥多摩は冬がいい。それも、雪を踏んで歩くのがいい。もう何度も経験しているけれど、そのことを改めて思った。


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コメント 2

T君

「雪が降ったら山に行こう」
 未明まで雪で、霧氷を見ながら青空に包まれる!
 実は3年前春の西穂でも経験していました
 でも、都内で満喫できるとは思ってもいませんでした
 雪は歩きやすいし、汗もかかないので、ついついペースが速くなってしまいました もっとゆっくり歩けばよかったと、反省してます

 山頂での前回に引き続きのカレースープ(と、飛び入りのてんぷら鍋焼きウドン)おいしかったです
  「ご飯が欲しい」という声もありましたが、アルファ米は時間がかかるので、カレーうどんなら、手早くできますね!
by T君 (2016-02-09 05:53) 

RK

コメント多謝。

本当にきれいな霧氷でしたね。西穂とはいかないまでも、北八ッあたりとは互角の感じでした。

山頂での「ご飯」については、蒸し器を持っていってコンビニおにぎりを暖めるという手はあるかなと思います。

また次回に。
by RK (2016-02-09 08:23) 

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