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リハビリ第二弾 - 小仏城山・景信山 [山歩き]


 11月3日(金)午前7時45分、JR新宿駅12番ホームで中央特快の下り電車を待っていると、小田急デパートの向こうに青空が覗いていた。
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 今朝6時前に起きて自宅マンションのベランダから外を眺めた時には、まだ空全体が薄雲に覆われ、東京スカイツリーの先端は靄(もや)の中に隠れていたのだが、太陽が昇るにつれてそれは解消し、爽やかな秋空が広がるようになっていった。

 昨日まで日本列島を覆っていた移動性高気圧は既に当方海上に去り、次の高気圧はまだ中国大陸にある。朝鮮半島から北海道にかけて低気圧の前線が連なり、関東地方の南東には別の低気圧が北東方向へ移動中。日本列島全体が明らかに気圧の谷の中にあるような天気図を見せられた時、私の知識では一面の青空が広がるような天候は全く導き出せないのだが、天気予報のアプリを開くと、スマホの画面には晴マークが並んでいる。やはり文化の日は晴天の特異日なんだなあ・・・。
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 7時51分、高尾行きの電車が到着。4号車の前寄りのドアから乗車すると、山仲間のH氏とK女史が並んで座っていた。それぞれ大船・鎌倉から東京駅経由で今日の山歩きに参加してくれたのだ。(と言うより、そもそも今回の山行を企画してくれたのがH氏だった。)途中の国分寺駅ではKさんが乗車。そして高尾で乗り換えた小淵沢行の普通列車ではS女史とH君ご夫妻、そしてT君が待っていて、これで今日の8人のメンバーが揃った。

 考えてみれば、私がH氏以外のメンバーと顔を合わせるのは今年になって初めてのことだ。1~3月は忙しくて山へ行けず、4月以降は私が膵臓がんの手術を受けたことで山歩きは封印状態だった。10月最初の日曜日にH氏がごく軽いウォーキングに誘ってくれて、稲荷山コースから高尾山をゆっくりと往復。それが私にとって山歩きの初回のリハビリだったので、今日は第二弾ということになる。相模湖の東から東海自然歩道の山道で小仏城山(670m)に上がり、小仏峠へ降りてから景信山(727m)へ登り返し、小仏バス停へと下るコースで、距離にして7km弱。標高差の累計は上りが約720mで下りが約630m。私は何度も歩いたことがあるから、今日の自分の体調をチェックする上でもちょうどいい。
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09:20 城山登山口 → 10:30 小仏城山

 JR相模湖駅から路線バスで5分。千木良バス停で降りて、登山道の起点の所にある茶店で名物の草餅を買い求め、いよいよ出発。今日は高校山岳部の同期・T君がトップを歩き、リハビリ中ということで私は8人一列の真ん中を歩かせてもらうことになった。久しぶりに再会したメンバーがそれぞれに私の体調を気遣ってくれる。何ともありがたいことだ。
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 尾根に取りついた後、山道は杉の植林の中を黙々と登るコースになる。私のリハビリのために今日の計画は小仏城山までのコースタイムに10分を加えたものにしていて、先頭のT君は計算し尽くしたように計画通りのペースを作ってくれる。そのおかげで、慣れ親しんだコースを私は何の問題もなく登って行くことが出来た。
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 樹林の中から頭の上に広がる青空は一段と鮮やかさを増して完璧な快晴になった。尾根沿いに順調に高度を稼ぎ、南西側の展望が得られる所では、富士の高嶺が頭を見せている。このところの晴天続きで頂上付近にも冠雪はなく、何とものどかな富士の眺めだ。「いい天気だなあ・・・」 私たちは口々に今日の幸運を喜び合った。
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 登山口から小仏城山まで標高差470mほどの登り。山頂に近づくにつれて、始まり出した紅葉が私たちの目を楽しませてくれる。暖かい日差しに照らされたその優しい色合いに何と癒されることだろう。眺めているだけでも私にとっては最高のリハビリになりそうだ。
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 歩き始めてからちょうど1時間を過ぎ、樹林の中ながら空が広くなってきた。登りで息遣いが荒くなるようなことも全くなく、私は土の山道を踏みしめる感触の懐かしさを楽しませてもらっている。そして、草むらの中の最後の登りを過ぎると、いつものように小仏城山の山頂の片隅にポンと出た。左手に大室山を従えた大きな富士の姿も、これまたいつもの通りだ。お疲れさま!茶店のベンチでひとまず小休止を取ろう。
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 東京の街中では、ケヤキやハナミズキの葉が少し色付いて来たかなという程度だが、標高670mの城山山頂付近では鮮やかな紅葉がもう始まっている。同じカエデの樹でありながら、赤・黄・緑の葉が同時に並んでいるというのも不思議なものだ。15分間の小休止の間、私たちは今年最初の紅葉見物を決め込んだ。
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10:45 小仏城山 → 11:35 景信山

 小仏城山から先は、まず小仏峠まで標高差120mほどの下りが続く。北斜面なので日当たりが悪く、晴れた日でも山道がぬかるんでいることが多い。念のためスパッツを付けて降りていったのだが、今日はかなり乾いていて、歩くのに困ることは何もなかった。天候といい山道のコンディションといい、今日は何だか出来過ぎている。小仏峠まで下り切る前に、左手に富士山のビュースポットがあって、眼下の相模湖とセットになった眺めが素敵だ。このあたりの低山では風も殆どなくて実に穏やかな好天なのだが、富士山の宝永火口から上の左肩には雲が沸いているから、それぐらいの高山になると西風が強いのだろうか。
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 小仏峠からは180mほどの登り返しが始まる。距離は短いながら最初の登りが少し急なのだが、ここも今回は実に快適に登って行ける。トップのT君がペースを上げた訳ではないけれど、メンバーも皆しっかりと歩けるので、小仏城山を出てからの区間は計画よりも所要時間を短縮することになり、城山から50分で景信山に到着。東京地方では久しぶりに晴れの週末となった今日は、景信山の山頂も多くの登山者で賑わっていて、二つある茶店はいずれも大忙しだ。私たちは上の方の茶店でベンチとテーブルを確保し、45分間の昼食休憩を楽しむことにした。
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 膵臓がんという、放っておけば命に係わるような病気をしたのは、私の生涯で今回が初めてのことだ。その原因は、おそらく一つではないだろう。元々胃腸は滅法強い方だったし、風邪をひくことも殆どなかった。我ながら酒も飲み、食べることには人一倍の好奇心があることを自認していた。そして、自分が責任を持つ仕事にはつい夢中になってしまうタチでもあった。他方、自分の持つ「鈍感力」もまた自認するところで、うまくいかないことがあってもあまりクヨクヨせず、ストレスも溜め込まない方だと自分では思っていた。けれども、膵臓という、普段から声を上げることのない臓器に病変が起きたことについて自分なりに振り返ってみると、体への刺激が強い食べ物・飲み物を摂取することが多過ぎたり、或いは自覚することのないところで少なからずストレスを溜めていたりしたことがあったのではないだろうか。

 手術を受けた後しばらくしてから主治医の経過観察を受けた時に、「これからは二つのことを必ず励行して下さい。一つは、必要な睡眠を取ること。もう一つはストレスを溜め込まないこと。」と言われたことがあった。それ自体は極めて明快なことなのだが、現代の我々の生活の中ではそれを守れないことが案外と多いものだ。既に還暦を過ぎた私も、会社の経営に責任を持つ立場にある以上は仕方がないことながら、スケジュールに追われるような生活は嫌だなと思いつつも、例えば携帯電話が繋がらずインターネットにも接続出来ないような環境に放り込まれると逆に不安を感じるように、いつの間にかなってしまった。

 けれども、気のおけない山仲間たちと総勢8人で、こうして東京近郊の低山を歩き、身近な紅葉を眺めているだけで、間違いなく今の私は浮世のことから自由でいられる。そして何の損得もなく、山の中で一時を過ごしていることの幸せを仲間たちと共有できる。ただそれだけのことが何とありがたく、何と心穏やかになれることだろう。

 仕事優先の生活からは当分離れられそうにないし、仕事に責任を持つ以上、それはまだ頑張るつもりだ。しかしながら、そこをもう少し器用に立ち回りながら、親しい仲間たちと山へ行くことに私の中でもっと明確な意思を持ってプライオリティーを上げていくべきではないのか。景信山の山頂で皆がそれぞれに持ち寄った食べ物を楽しみながら、多分に我田引水ではあるが、そんなことを考えていた。
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12:20 景信山 → 13:05 小仏バス停

 山を下りる。東京方面の平地を見下ろす景信山からの広々とした眺めも、今はすっかり秋色になった。正午を回ったばかりなのに、秋の陽はもう微かに赤味を帯びている。
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 山頂から下り始めたところで、右手に丹沢山地の眺めが広がっていた。この奥高尾一帯は、晴れた日には丹沢の優れた展望台なのだ。いつまでも眺めていたかったが、遠からずまた来ることにしよう。
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 バスが走る道路まで標高差380mの下り。トップのT君のペースはいつの間にか上がっていて、20分ほども下った頃には山道が尾根の左を巻き、左下から中央自動車道を走るクルマの音が聞こえ始めた。そうなると下界も直ぐで、程なく舗装道路に出る。後はそれを下って行けばバス停は近い。結局、予定より30分早いバスに乗れることになり、高尾山口駅前に13:40頃に着いた。駅に直結する新しい温泉施設「極楽湯」は大変な混雑だったが、下山後の風呂はやはり有難いものである。

 同行のメンバーそれぞれの私への暖かい心遣いを噛みしめながら過ごした半日。おかげさまで、当の私は何らの支障なく今回のコースを楽しませていただいた。この先も決して背伸びすることなく、T君が語ってくれたように「慌てず、焦らず、諦めず」を旨として、私の山歩きのリハビリを続けて行こうと思う。

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コメント 2

TT

奥高尾の紅葉と青空。山はやはりよいですね。ゆっくりといろいろな山に戻っていかれますよう!
by TT (2017-11-08 21:44) 

RK

ありがとうございます。秋の低山歩きのしみじみとした味わいを楽しませていただきました。昔のことは忘れてゆっくりと歩く、それもまた人生。この歳になっても、学ぶことはまだまだ沢山あります。
by RK (2017-11-09 05:31) 

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