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備忘録 (3) [自分史]


7月14日(土) 暑い夏

 関東甲信地方についていうと、今年(2018)年は「6月6日頃に梅雨入りした」との気象庁発表から4週間足らずで、「6月29日(金)頃に梅雨が明けた」との宣言がなされた。要するに7月を待たずに梅雨が明けた訳で、その早さは史上1位タイの記録だそうである。

 とにかく暑い夏になった。当時の気象データ(毎日の平均気温)を改めて眺めてみると、東京都心では6月半ばの10日間ほどを除いて、6月・7月は略一貫して平均気温が平年より高かったのだ。毎日の平均気温の5日移動平均を平年値と比べてみると、6月の平均は+0.5℃だが7月は+3.3℃にもなっている。
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 そして東京都心の最高気温がこの夏初めて35℃を超えた7月14日(土)、この日の最高気温が「観測史上1位」または「7月として1位」を記録した観測地点が日本各地で続出。気温を表す気象庁の地図グラフは真っ赤になった。
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7月21日(土) 江戸の夏色

 「朝顔市・ほおずき市」と言えば夏の代名詞。東京・文京区の伝通院では、その広々とした境内で朝顔市が、そして坂道を降りた源覚寺(通称・こんにゃくえんま)では、猫の額のような敷地の中でほおずき市が行われる。例年なら梅雨明け前後のタイミングになるのだが、今年は7月を待たずに梅雨が明けてから既に三ヶ月が経過。35℃近くになる日が何日も続いて、もうとっくに8月を迎えたような気分。それでも朝顔の涼しげな藍とほおずきの鮮やかな朱は、いずれも江戸の夏の色。これを眺めてちょっと気分を換えるのはいいものだ。
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8月14日(火)~17日(金) 田んぼと里山

 暑い夏だが、今年は仕事の関係で会社のお盆休みの間も工場へ出張。外国人技師を交え、設備メンテナンスの作業をサポートすることに。

 工場から車で10分も走れば、周囲は自然色豊かな田園風景。東北地方も暑い夏の日が続いたようだが、青々とした水田とその向こうに見え隠れする里山の眺めは、なぜかとても懐かしい。「日本むかし話」にでも出て来そうな、こんな風景に囲まれて数日を過ごしただけで里心がついて、東京に帰るのが何だか勿体ない気になってしまうのだから、人間とは不思議なものである。
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8月24日(金) SL大樹

 ちょっとした出張で朝から栃木県の日光市へ。午後に本社で会議があったので、文字通りトンボ帰りの出張だったのだが、現地での用事を済ませて東武日光線の下今市駅に戻った時、前年から運行が始まった「SL大樹」がちょうど到着したところだった。
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 これは全くの偶然で、こんな列車があることも認識していなかったのだが、何という幸運か、山陰本線の長門市駅から運んできたという転車台に乗って向きを変える蒸気機関車C11をじっくりと眺めることが出来た。
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 以前の会社の上司だった「鉄ちゃん」にメールをしたら、「下今市へ出張だなんて、出来過ぎだろ!」と言われた。
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8月25日(土) ダイヤモンド雲取山

 土曜の午後の散歩の仕上げに文京シビックセンター25階の展望台へ。西の空が晴れていて、シルエットになった山並みの向こうに日が沈む様子を眺めていた。

 日没の方角から考えて、何となくそうではないかなと思っていたのだが、帰宅してからPCソフト「カシミール3D」で調べてみたらドンピシャリ、その日はシビックセンターから見て奥多摩の雲取山(2017m)の山頂に日が沈む、言わば「ダイヤモンド雲取山」の日だったのである。
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 以前にも西新宿の東京都庁からダイヤモンド富士を眺めた時に、太陽が山頂にさしかかった次の瞬間にその光が上下二筋に分かれることを知ったのだが、それと同じことが雲取山の場合にも見られた。
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 太陽と山が織りなす束の間のドラマ。ちょっといいものを見させてもらった。
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9月3日(月)~8日(日) ドイツ出張

 現地の設備メーカーとの打ち合わせのため、工場の若手3人を連れてドイツへ出張。空路でデュッセルドルフに入った後、イーサーローンという小さな街で3日を過ごす。日本では台風21号が西日本を縦断し、また北海道で大きな地震が起きた、ちょうどその頃だった。
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(デュッセルドルフの繁華街。ヨーロッパはどこかのんびりしている)
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(ホテルの屋上から眺めるイーザーローンの街)
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(イーザーローンは人口6万人の小さな街)

 今回連れて行った3人の若手(よく考えてみたら、彼らと私は30年近く年が離れている!)の内の2人は、そもそも海外へ行くこと自体が初めて。地方に生まれ育ち、地元の学校を出て直ぐにモノ作りの現場に入り、ずっとそこでやって来た人達だから、自分に海外出張の役目が回って来ることなど想像もしていなかったことだろう。けれども彼らは私が思っていた以上に外国という環境にもスムーズに順応し、何よりも現地での仕事には終始目を輝かせながら一生懸命取り組んでくれた。そのことが私には一番嬉しかった。
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(私たちが訪れた現地の設備メーカー)
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(訪問先の社食)

 滞在中に現地の設備メーカー2社を訪れ、一緒に作業をした、その経験は彼らにとってきっと大きな糧になることだろう。日本のモノ作りの将来を担う若い世代。これからも世界を自分の目で見る経験を出来る限り積ませて上げたいと、心からそう思っている。
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 最後の仕事が終わった金曜日の夕方は、ケルンの大聖堂を見学し、土曜日は夜のフライトまでの間、デュッセルドルフの旧市街をゆっくりと見て歩いた。若手3人の爽やかな笑顔が私にとっての励みになった、心に残る出張であった。
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9月19日(水) 安全祈願祭

 二週間前にドイツへ出張して、現地の設備メーカーと具体的な打ち合わせを重ねた、そのことと関連するのだが、発注して来年やって来る設備を据え付ける、その事前準備のための色々な工事がこれから始まる。それに先立ち、地域の八幡神社から神主さんに来てもらい、工場内の一角で安全祈願祭を執り行った。
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 神主さんが祝詞を上げ、私も「玉串奉奠」を行う。神棚の向こうにおわすのは何という名の神なのか、その名前も存じ上げないけれど、その神に頭を下げ、柏手を打って工事の安全を祈願。でも日本の神さまは一神教のように全知全能の神ではないし、教義もなければ修行もない。我々からすれば救済を求める相手では決してないのだが、その代わりに、私たちが誓いを立てたことをきちんと実行しているか、日頃からお天道様に恥じない生き方をしているか、目には見えないけれどそうしたことをいつも見守ってくれる神さまなのだ。
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 だとすれば、今日の安全祈願祭とは工事を安全に進めることを我々が神さまに誓う場であり、そうであればこそ、それらの工事の安全を実現してく主体は外ならぬ私たち自身なのである。

 「ご低頭ください」という声に従って神さまに頭を下げ、祝詞を聞く私たちの胸の中はこれからの抱負に満ちている。この国に生まれ育ってよかったと、心の底からそう思った。

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