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始動 - 陣馬山・景信山 [山歩き]


 1月4日、午前6時。外は東の空が白みかけた頃で、冷え込みが厳しい。西の空に残る半月を眺めながら、最寄駅へ。山へ向かうのに、さすがに今朝は厚手のダウンジャケットを着込んでいる。

 電車を乗り継いで高尾駅に到着。ここで7時46分発の河口湖行き普通列車を15分ほど待つことになるのだが、今の時期は高尾駅ホームでのこの時間が一番寒い。(気象庁のデータによれば、この日午前7時の気温が八王子で-4.6度だったそうだ。) そして、高尾から二駅乗った藤野で電車を降りると、外の冷え込みは一段上だった。
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(朝の藤野駅)

 座席がほぼ埋まった8時10分発の路線バスは、定刻通りに藤野駅前を発車。5分ほど走った陣馬登山口で、私を含め6人ほどの登山客が降りた。

8:20 陣馬登山口 → 9:35 陣馬山

 登山口の標識の前で靴紐を締め直し、ウールの帽子と手袋を身につけて、いよいよ出発。いつものように一ノ尾根登山道に向かう。最初の10分ほどは舗装された坂道が住宅の間を縫っていくのだが、そこをせっせと上っていく間に体は温まり、その舗装道が終わって山道が始まる所で帽子と手袋を外した。これもいつもと同じだ。今日歩く山の稜線がここから見えている。
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 今年は曜日の巡り合わせで、1月4日の今日も会社はまだ休みである。年末年始は何かと飽食気味になるから、自分でもいささか体が重い。三ヶ日が終わったから、そろそろ山を歩いて体を動かそうか。そんな風に思ったのは私だけではないようで、朝のこの時刻にもう山を下って来た若いトレール・ランナーに出会った。

 一ノ尾根は陣馬山から南に走る尾根だから、そこを上る時は常に太陽が背中にある。葉がすっかり落ちた雑木林の中を歩く時などは、空が明るくて気分がいい。そして後ろを振り返ると、木々の間からいつの間にか富士山が頭を出していることに気付く。
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 このルートは、なるべくせっせと歩くようにしている。平地をジョッギングする時と同じような呼吸になる程度までペースを上げてみる。そうやって上り続けることで、その日の体調がわかることもあるものだ。冬場の運動不足が続いていたから、今日は凡記録になるだろう。植林を越え、和田からの山道が左から合流してしばらく行くと、最後の階段状の上りが見えて来た。

 9時35分、陣馬山頂に到着。風はなく、凛とした寒さが心地よい。360度を見渡しても雲一つない晴天。ザックを下ろすのも忘れて、そこからの展望にしばし見とれる。
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(陣馬山頂からの富士)

 今日は丹沢もご機嫌がいいらしく、大山から丹沢山や蛭ヶ岳を経て大室山までの山並みが、富士山の左側に勢ぞろいしている。そして、南アルプスの赤石岳・悪沢岳も彼方に姿を見せていた。
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(富士山の左に続く丹沢の山々)
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09:55 陣馬山 → 10:20 明王峠

 山頂で案外ゆっくりしてしまった。先へ進もう。朝の光に霜柱が融けてぬかるみ出した下り斜面を用心しながらやり過ごすと、そこから先は緩やかな尾根をのんびりと下っていく道だ。途中の奈良子峠も、そして明王峠も、そこが峠と言われてもピンと来ないほど起伏のない場所だが、歩いていて実に気分のいいコースである。

 富士山をのんびりと眺めるのに優れた場所の明王峠。一息入れている時に、ここからも南アルプスの悪沢岳が見えていることに気がついた。しかも、悪沢岳の右側に白い峰々が更に続いている。それらは陣馬山頂からは見えない山だ。ここで撮影した写真をもとに家で調べてみると、それは塩見岳や蝙蝠岳などの峰々だった。それほど高い山に上がらなくても塩見岳を眺めることが出来るとは、ちょっと驚きである。
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10:25 明王峠 → 11;20 景信山

 明王峠から景信山までも、実にのんびりとしたコースである。最初は尾根の北側に沿った道で、落葉樹の森の向こうに奥多摩の山々が見えている。それが、堂所山のまき道になる所で尾根の南側に入り、植林の中を行く木漏れ日のたっぷりとした道となる。そして、送電線をくぐるあたりではもう一度北側に回り込み、平野部の眺めが見え始める。せっせと歩いてしまうのはもったいない気もするが、ここも自分のペースで通過した。
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(奥多摩の山々)

 たどりついた景信山の山頂は、今日も眺めが広い。真冬で空気が澄んでいるからか、都会の眺めもくっきりとしていて、東京スカイツリーも今日は鮮明に見えていた。
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 そして反対側には森の向こうに富士山が姿を見せている。下山後のバスまで時間がたっぷりあるので、その富士山が見えるベンチに私は席を取った。コンロで湯を沸かし、カップ麺で昼食にしよう。腹を満たすというよりも暖を取ることが目的のような昼食だが、ともかくも純白の富士を真正面に眺めながら青い空の下で食べるのだから、実にリッチなカップ麺である。
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11:55 景信山 → 12:30 小仏バス停

 朝から楽しんできた山も、後は下るのみである。景信山の直下も、とにかく日当たりだけは抜群だから、霜柱が融けて道はグチャグチャだ。泥沼で尻餅をつかないようルートを選びながら難所を越えると、その先は明るい森の下りになる。案外ずんずんと下りて行って、眼下を走る中央自動車道の車の音が大きくなると、山道も終わりに近い。最後はあっけなく舗装道路に出て、そこから10分足らずで小仏バス停だ。

 12時40分発のバスに乗ると、13時前に高尾駅に着く。そこから電車に乗れば都心でも14時頃には到着するから、まだ半日の残り時間を何かに使うことが出来る。陣馬・高尾エリアの山々の利点はそこにあって、二毛作のような一日を過ごすことが出来るのはありがたいことだ。私はその後、電車を乗り継いで実家を訪れ、独り暮らしをしている母の様子を見て来ることが出来た。もちろん元日にも母を囲んで皆で集まったのだが、時間がある限りは、これからも何かにつけて顔を出しておこうと思っている。

 ともかくもこれが2013年の山の始動。今年も文武両道で頑張って行きたい。

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