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裏高尾エクスプレス (生藤山~陣馬山~景信山) [山歩き]

 JR中央本線の上野原駅から路線バスで20分足らず。山の麓に石楯尾(いわたてお)神社という神さびた社がひっそりと建っている。

 ご由緒を読むと、第十二代景行天皇の庚戌四十年というから、額面通りなら相当に古い。日本武尊の東征の砌り、戦地から持ち帰った「天磐楯(あめのいわたて)」をここに収めて神武天皇を祀ったのがその始まりだという。そんなご由緒があるからか、鳥居の両側に立つのも狛犬ではなくてごろごろとした岩である。ともあれ、ご祭神の神武天皇に頭を下げ、今日の山歩きの無事をお願いすることにしよう。
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08:35 石楯尾神社 → 09:10 佐野川峠 → 09:35 三国山

 神社の前の舗装道路を道なりに進むと、生藤山(990m)への道が右に分かれる。のんびりとした農村風景の中をしばらく歩き、やがて左へ登山道が現れる。杉の植林の中を黙々と登っていく道だが、よく踏まれていて歩きやすい。途中、山道が分かれるポイントが何ヵ所かあるが、左へ左へと選んでいくのがいいようだ。(私は右へ分かれる道を選んだために、行き止まりになったことが一度あった。) せっせと登れば30分足らずで森の中の佐野川峠に着く。
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 ここから先は尾根伝いの道で、以前にも歩いたことがあった。登山道の両側に桜の木が並ぶようになり、しばらくすると甘草水という休憩地に出る。桜の季節にはいい所だ。今日は青々とした桜の葉をしばし眺めて、すぐに出発した。そして、甘草水から10分ほども歩けば三国山の山頂に着く。生藤山の200m手前にある小さなピークで、西側の展望が開けている。お目当ての富士山は山頂を雲の中に隠していたが、扇山や権現山、道志・御坂方面の山々、そして小金沢連嶺など、山梨県下の山々が勢ぞろいをしている。私が好きな眺めの一つである。
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(右の彼方には小金沢連嶺が並ぶ)
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(三国山の山頂に残っていた山桜。奥のピークは権現山)

10:00 三国山 → 生藤山 → 10:13 茅丸 → 10:40 山の神

 三国山頂上からの展望を楽しんだ後、すぐ隣の生藤山へと向かう。ここは取り立てて展望はなく、山頂を通らない巻き道もあるぐらいだが、今日は敬意を表してピークを踏もう。その先にはもう一つ、茅丸(1019m)というピークがあって、今日のコースの最高地点だ。ここからは南側に辛うじて展望があり、丹沢の最高峰・蛭ヶ岳がどっしりとその姿を見せていた。
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 ここからは遠くの展望はないが、山道の両側に眩しい新緑が続き、道は和田峠へとゆっくり高度を下げていく。私はいつしか、平地でいうところのジョギングのように山道を軽く走っていた。それには理由があった。

 先日の私の誕生日に、普段のジョギング用にとサポーター・タイツを家内がプレゼントしてくれた。山歩きに使ってもいいらしい。今日はそれを実際に着用してみて初めての山行なのである。確かに足を動かしやすいのと、膝がサポートされた感じが、歩いていて楽である。

 考えてみれば、今日のサブザックの中身は、ウィンドブレーカーが一枚と水が1リットル、握り飯が一個、それに救急用品程度だ。降水確率は0%だから雨具も持って来なかったし、いつものような登山用コンロも入れていないから、いわゆるトレイル・ランニングの人たちの持ち物と同じようなものなのだ。

 快調に飛ばして、山道の分岐にあたる山の神はあやうく見落とすところだった。

10:40 山の神 → 11:12 和田峠 → 11:32 陣馬山

 山の神を過ぎてからも、山道は緩やかな下降を続いている。醍醐丸のピークは巻き道で勘弁してもらうことにして、和田峠に向かって私は歩みを速めた。それでは景色は目に止まらないかというと、そんなことはなくて、ふと垣間見る新緑の美しさに思わず歩みを止めることもあった。和田の集落が右手の眼下にあり、見上げれば木々の向こうに陣馬山頂の茶店の屋根が見えている。

山道を下りきって舗装道路に出たところが和田峠。その道路を左へ行くと、陣馬山へと向かう山道が現れる。階段状の直登コースと、林道を行く緩やかなコースとがあるのだが、今日は直登コースを頑張ってみることにする。確かに階段が続く傾斜の急な登山道だが、せっせと登って20分で陣馬山の明るい山頂に着いた。
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(和田峠から陣馬山への道。右の階段が直登コース)

 時刻は11時半を回ったところで、陣馬山頂も大変な賑わいである。今日は5月5日だから、山頂付近には大きなこいのぼりも掲げられていて、それが青空と山の緑によく映えている。ここまで歩いてきた生藤山からの稜線や、彼方には大岳山をはじめとする奥多摩の山々のうねりが続き、どこを見ても五月の山の色だ。
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 当初の計画は、ここから陣馬山の一ノ尾根を少し下り、右に折れて和田集落へと下りていくコースを考えていた。だが、トレランもどきのことをやってきたために、陣馬山への到着が大幅に早まってしまった。これからだと、コースタイム通りの時間をかけて下っても、和田では帰りのバスを一時間以上待つことになる。それもつまらないから、いっそのこと景信山まで歩いてしまおうか。

11:47 陣馬山 → 12:09 明王峠 → 12:55 景信山

 陣馬山をあとに、東方向へと稜線を下る。ここから先は何度も歩いたことがあるので、様子はわかっているつもりだ。登山者の往来も多いし、特に近年はランナーの数が増えている。私も彼らに交じって、小走りに山道を進む。見慣れた景色がどんどんと過ぎ去っていくのも、これはこれで悪くない。底沢峠から先、樹林の中の幾つかのピークは巻き道で通過することにして、景信山への道を急ぐ。途中、送電線をくぐるあたりではさすがに両足に疲労を覚え始めたが、もう少しの我慢だ。やがて、見覚えのある上り坂が始まると、その先が景信山のピークである。ここも好天の今日は大変な賑わいだ。
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(景信山から眺める丹沢の山々と相模湖)

13:05 景信山 → 13:40 小仏バス停

 景信山のピークでは、茶店のなめこ汁でももらって少しゆっくりしようかと思っていたのだが、時計を見ると次のバス(小仏バス停発 13:40)まで、あと40分ほどである。それを逃すと30分待たねばならないから、山頂での休憩は切り上げて、下山を始めることにしよう。

 生藤山からここまでのコースとは違い、景信山から小仏バス停へと下る道は結構急傾斜だ。ここではスッ飛ばしても危険なだけだから、私は普段通りのステップで降りることにした。コースタイム40分だから、バスにはギリギリだが何とかなるのではないか。

 冬の間、日当たりがよくて霜が融けると、この下り道は足元が滑るのでいやなところだが、さすがにもう霜の季節ではないのと、このところの好天続きで道は乾いている。今日は駆け足を続けてきたので、このあたりではさすがに両足が疲れてきたが、眼下を走る中央自動車道の音がだいぶ大きくなってきたから、終わりは近い。13:30に舗装道に降り立ち、バス停を目指して更に歩く。この部分が意外に長くて、最後はバスの発車時刻に本当にギリギリとなってしまった。

 連休中なので登山客が多く、バスは2台の増発をしたようだ。その3番目のバスが、私を含めたあと数人の登山客を待っている。最後の最後になって、本日一番のスピードで走って何とかバスに乗り込むことになった。

 「カシミール3D」で調べてみると、今日のコースは沿面距離が16.2km、累積高度は上り・下り共に1300m前後である。昭文社の山地図では、コースタイムの合計が7時間20分だが、今日の私の実働時間は4時間10分だった。

 といって、これからもいわゆるトレランはやるつもりはない。時間を競うようなことも考えていない。イザという時、或いは何らかの事情で山道を急がざるを得ない時、今の自分にはどれぐらいの脚力があるのか、それを試してみる意味はあるかと思い、やってみただけのことである。それも、今日は独りでやってきたから出来ることだ。

 やはり山は、ゆっくり楽しみたいと思う。

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コメント 2

H氏

相変わらずの健脚ぶりですね。
Let'u hikeでは絶対にこんな歩き方、しないでね(笑)。
一人だと飛ばしたくなるのはよく理解できます。ただ、私はその結果、やはり膝を傷めてしまいます。今後ものんびり歩きにお付き合い下さい。
by H氏 (2013-05-06 21:57) 

RK

まあ、山道を走ったからといって、何かいいことがある訳でもないですね。

ただ、サポーター・タイツなるものを初めて履いてみて、これはなかなかよく出来ているとは思いました。まだまだそういう物には頼りたくないという気持ちもあるのですが。

そう遠くない将来、登山用の二足歩行ロボなんていうのも開発されるかもしれませんね。

RK

by RK (2013-05-06 22:53) 

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