SSブログ

続・聖地巡礼 - 穂高・岳沢 (2) [山歩き]

 先日、都内の実家に顔を出した時、長い間預けっ放しにしていた私物を段ボール一箱分引き取ってきた。中身は私が社会人になりたての頃の物が中心だったのだが、その中から、登山に使った国土地理院地図をファイルしたものが出て来た。今ならボックス・ファイルと呼ばれるようなものを自分で作り、折り畳んだ国土地理院地図を五十音順にファイリングしていたことなど、すっかり忘れていたのだが。

 その中に綴じられていた、5万分の一の地図『上高地』。そこには、当時の私の手書きで、穂高の岳沢を巡る山々を歩いた時のルートや、山の登頂日が記入されていた。前穂高岳や奥穂高岳のピークのところには、”48.7.21”という数字が書かれている。昭和48年7月21日、それは紛れもなく、私が高校二年生の年の夏合宿である。今からちょうど40年前のことだ。
40 years ago.jpg

 昭和48(1973)年のカレンダーや、当時の交通公社時刻表、そして気象庁のHPなどを使って、その夏合宿を再現してみると、以下のようになる。

 7月19日(木)、私たちはこの日の夜行の急行「アルプス10号」南小谷行き(新宿 23:15 → 松本 04:36)に乗ったのではないかと思う。(松本の到着時刻が現在の臨時列車・快速「ムーンライト信州81号」と同じようだが、新宿の出発時刻が今より早いのは、当時の列車が岡谷から先が辰野経由だったからだろうか。)

 松本に着いた後は、予め頼んでおいたマイクロバスで上高地に向かった。現役高校生は6人(二年生と一年生が3人ずつ)、学校側から数学のN先生と地理のT先生が参加され、それに2人のOBを加えて総勢10人だった。松本から野麦街道を走り続け、釜トンネルを抜けたマイクロバスが大きく右カーブを切った直後に左の車窓の展望が開け、大正池の彼方に聳える穂高の山々を初めて眺めた時の感動は、今も忘れることができない。

 7月20日(金)は入山日。重いキスリングを背負って岳沢道を登り、テントを設営した。翌21日(土)は早くも前穂高岳奥穂高岳に登っている。22日(日)と23日(月)はピッケルを持って雪渓歩きの訓練をしたような記憶がある。24日(火)は前穂高岳経由で明神岳主峰に登頂。25日(水)は岳沢道を少し下って、7番プレートのところから明神岳Ⅴ峰に上がったのではなかったか。

 そして26日(木)は合宿の最終日。現役生用のテントを撤収して上高地に下山。合宿としてはそこで解散で、私たち二年生3人は再び岳沢に戻り、OB合宿に加えてもらったのだった。

 翌27日(金)は天狗沢を詰めて天狗のコルを往復。最も傾斜のきつい雪渓の最上部でもピッケルを使って上り下りが出来ることを確認した上で、翌28日(土)は天狗のコルを超えて西穂高岳までの稜線を往復。そして29日(日)にT君と私は二人で上高地に降りた。十日間も穂高の山の中で暮らしたのは痛快だったし、今から思えば、先輩たちは現役高校生を結構危ない所まで連れて行ってくれたものだ。

 実はこの年、関東甲信地方は何と7月5日に梅雨が明けている。この年の太平洋高気圧はよほど強かったようで、松本では7月4日から28日までの間、23日が曇だったことを除けば、ずっと晴の日が続いた。私たちの現役合宿は20日から26日まで、そしてOB合宿に加わって更に山を歩いたのは28日までだったから、まさにこの晴天続きの期間に当たっていた。
 

 だから、実家でアルバムを探せば写真が残っていると思うが、7月21日に初めて前穂高岳に登った時、その山頂からは奥穂高岳から槍ヶ岳へと続く3000m級の稜線が一望のもとにあった。そんな景色をいきなり見てしまったのだから、以後も山がやめられなくなるはずである。

dakesawa2013-101.JPG

 あの夏からちょうど40年、再び岳沢にやってきた私たちは、山小屋の夕食が終わった後も、テラスに出て夕日の当たり出した周囲の稜線を眺めている。

 この時間帯は、とりわけ明神岳の岩稜が素晴らしい。幾つもの岩峰が夕日を受けて今日最後の輝きを見せている。小屋のテーブルに置かれた案内図によれば、奥明神沢の左上にそびえる鋭い岩峰は「岳沢槍」となっていたが、正確には明神岳の主稜のどのあたりが見えているのだろう。
dakesawa2013-104.JPG
(夕日に輝く明神岳の主稜線)

dakesawa2013-102.JPG
(奥明神沢の雪渓)

dakesawa2013-103.JPG
(岳沢槍?)

 そして反対側を眺めると、西穂高岳の稜線もなかなかに見事だ。中でも間ノ岳のピラミダルな山容が目を引く。
dakesawa2013-105.JPG
dakesawa2013-106.JPG
(間ノ岳のピークは目を引く)

 さあ、明日は前穂に登る日だ。40年前と同じような展望が待っていてくれるだろうか。

(To be continued)

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。